喉の不調、声枯れ、梅核気、ヒステリー球の症例
症例2 ヒステリー球(声がれ、胸のつまり)
患者
40代 女性
来院
2019年6月
症状と来院理由
3週間ほど前、頭痛から吐き気をもよおしたので会社を早めに退社した。
初めは風邪の症状が治らないと思っていたが、声のかすれとゲップが出そうで出ない状態で胸がつまるような痛みがしばらく続いている。
耳鼻咽喉科では異常はなく、消化器内科で処方された薬を飲んだが症状は変わらず、胃カメラでも大きな所見は見られなかった。
「声のかすれ」や「胸がつかえる」で検索してみるとヒステリー球が自分の症状に近いと思い、さらに調べてみると鍼治療に効果があると知った。
施術内容と経過
体を動かしてもらうと、胸を開く動作がしづらそうなので肩甲骨周辺を調べた。
肩甲骨の動きを良くするため足首のツボと足の甲のツボに鍼をして数分間置鍼した。
抜鍼後、胸が開きやすくなったので初回は終了。
1週間おきに来院し、3診目で声のかすれが良くなってきた。同時に胸のつかえも辛い時の半分ほど緩和した。
5診目、かすれ声もクリアに聞こえ、胸の症状もなく終了した。
使用した主なツボ
三陰交LR 開魄LR
まとめ
胸を開く動作は左右の肩甲骨を引き付けないと上手くできない。動作不良であれば連動している胸骨や鎖骨に影響は出る。やがて喉の奥や胸部の違和感に至りヒステリー球の症状が現れた。
一見、風邪などの症状だと思いがちだが、肩甲骨の動きが改善したことで緩和につながった。
症例1 声枯れがひどい
患者
60代 女性
来院
2016年4月
症状と来院理由
2週間ほど前に風邪をひき、その直後から声が枯れ、次第に悪化した。
耳鼻咽喉科では、声帯や喉頭に異常は診られず、炎症によるものと診断された。咳も治まり、のどの痛みは全くないが、消炎剤を飲み続けても声に改善はみられなかった。
1週間後に合唱の参加予定があり、少しでも歌えればと希望している。非常に小声で、かすれの状態が増悪しており、問診時の会話は聞き取りにくい状況であった。
施術内容と経過
声の出ない状態であることから、触診してみると、喉周辺が非常に緊張していた。
2ヶ所に著しい緊張部位がみられたので、手と足のツボに鍼をした。
10分後、大幅に緊張が緩和された。また、肩こりに注目すると、強い圧痛点がみられたので、関連する手と腰部に鍼をして終了した。
3日後、かすれているが明らかに声の出が良くなっていた。初診と同様の治療を行う。
6日後、かすれは消失し、声量も大きくなり、会話も全く問題なし。
本番当日、合唱に参加し歌うことができた。
同時に施術した症状
肩こり
使用した主なツボ
太衝L 合谷L 腰海L 威霊L
まとめ
長期間声が発せられなかったのは、風邪をこじらせたのではなく、以前から合唱の練習が続き疲労が蓄積され、喉周辺に過緊張を生み出したと考えられる。
原因が風邪によるものであれば、炎症などが治まることで不調が改善される。しかし、なかなか改善されない場合は、声帯に緊張を起こしている喉周辺が原因であることは少なくない。
さらに慢性化した肩こりも、頚部周辺へいつでも過緊張を起こす原因とされるため見逃すことはできない。
今回は施術期間が短いなか効果を出せたが、今後広い視野をもち、さらに精度を上げていきたい。