逆子の症例
症例4 妊娠周期30週
患者
35歳
来院
2020年6月
妊娠周期
30週 3人目
症状と来院理由
1ヶ月前に逆子と診断され、一度戻ったがまた逆子になりしばらく経っても戻らない。
今回出産は3回目で最後だと思っているので、できれば自然分娩を希望したい。
産婦人科では1ヶ月はあるから様子を見ましょうと言われたが、他の方法を探してみると鍼灸に効果があると思い当院を見つけた。
施術内容と経過
もともと腰痛はあるが痛むというより重だるさが続いている。さらに、食後は胃の圧迫感が増してくることで息苦しくなる。
腹部に軽く触れただけでも「うっ」となるような不快な部位が触診で分かった。
足首とふくらはぎのツボに鍼をして10分間置鍼をした。その後、お腹に触れても全く嫌な感じがなくなった。
腰痛は股関節が関わっていると考え、下腿前面にあるツボに鍼をして腰が楽になったので終了した。
1週間後、わずかに残っている不快な部位に対して施術をした。
その後の検診で頭位に戻ったことが分かり、8月に自然分娩で無事出産を迎えられたとのご報告をいただいた。
使用した主なツボ
築賓R 三陰交R 豊隆L
まとめ
胸郭が開きづらい状態にあると食後の圧迫感が起こり、お腹を楽にしないと赤ちゃんが動きづらくなる。
さらに元々ある腰部の重い感じは股関節と関係があり、肩甲骨との連動を考えると胸郭を狭くしてしまうことにつながる。
股関節の動きを調整したことで緊張していた骨盤と胸郭が適度に緩くなりお腹に余裕ができた。
症例3 妊娠周期29週
患者
34歳
来院
2017年11月
妊娠周期
29週 2人目
症状と来院理由
1週間前の検診で逆子と診断された。
同時期に風邪をひき、咳が止まらずくしゃみも多かった。間もなく季肋部に「つるような痛み」があらわれた。
特に就寝時は横向きや仰向けの姿勢になると、数十秒で痛みが起こる。
一向に痛みが緩和されないので、逆子とともに診てもらおうと思いインターネットから予約した。
施術内容と経過
問診から、右季肋部に痛みの発現点がみられた。
仰臥位、側臥位とも背部に圧迫が起こることから、脊柱に刺鍼した。
直後、どちらの寝方をしても痛みが生じないので、次に腹診を始めた。
腹部の圧痛から対応するツボに鍼をして、痛みの緩和を確認してもらい終了した。
後日、「前回終了後、すぐ診てもらったら逆子が治った」と報告いただいた。
使用した主なツボ
T₈(₁)R 三陰交R 四瀆R
まとめ
季肋部の痛みは、咳などにより背部のコリが強まったことで症状が誘発された。
季肋部周辺に緊張が起こり、胎児は硬くなった場所で安定していた。
胎児は常に子宮腔で自由に動いているので、際立った硬さがあると移動しづらくなってしまう。
腹部の緊張が緩和されれば、自然な丸みになり胎児が動きやすい状態になる。
逆にいえば腹部の過緊張はお腹の形をいびつにしてしまうので注意したい。
症例2 妊娠周期29週
患者
35歳
来院
2017年10月
妊娠周期
29週 2人目
症状と来院理由
妊娠周期25週で、肩こりと耳鳴り・耳閉感の治療のため来院していたが、29週目の検診で逆子と判明。
肩こりや耳閉感ともに状態は良好であったため、当院の逆子に実績があるのを知っており施術を希望した。
腹部の症状はないが、その日の体調で腰痛や股関節痛になる。
施術内容と経過
腹部全体を診ると、臍(おへそ)より下部が突き出している「尖り腹」になっていた。
問診で、下肢の冷えがあることが分かり下腹部の張りも認められたので、下腿のツボに鍼をした。
置鍼後、腹部のゆるみと下肢が温かくなった。
次に骨盤周辺を確認してみると、鼠径部や腰部の圧痛、内転筋の緊張があった。
それぞれに対応するツボに鍼をして、痛みや緊張が軽減された。
計4回、その時の状態に応じて処置をした。
11月の検診で頭位の報告を受けた。
使用した主なツボ
太衝R 外秩辺R 小腰R 三陰交LR
まとめ
尖り腹は、胎児がお腹の上側に行きにくい状態である。
胎児が下がり過ぎると骨盤や脚の付け根の圧迫が強くなり、下肢の緊張や冷えなどを引き起こす症状が多くなる。
腹部の緊張が緩和されたことで、いびつになったお腹の形が丸くなり、胎児が動きやすくなったと考えられる。
今回は、骨盤周辺の問題をいかに解決できるかがポイントとなった。