「突発性難聴」や「耳鳴り」の緩和の方法、アゴベロストレッチ。
ハリフルの滝沢です。
当院では「突発性難聴」や「耳鳴り」でお悩みの方が多く来院されています。病院の検査により「突発性難聴」「低音障害型感音難聴」と診断されたり、「ジー」「キーン」などの耳鳴りを伴ったり、耳鳴りが単独で起こることもあります。急に聞こえが悪くなったり、常に耳障りな音が聞こえ続けているといった症状で悩んでいます。
耳の不調を訴えて来院された患者さんの中で、顎に不調のある方が多くみられました。耳と密接に関係のある顎関節に問題があるので、鍼での調整が必要でした。
また、もともと顎の緊張が強い方には治療後に「顎を緩める簡単な方法」を患者さんにお伝えしています。顎関節の緊張が緩むだけでも、様々な症状の緩和や予防になります。
まずは、顎と耳の関係についてのご説明します。
鍼治療と突発性難聴、耳鳴り
実は、鍼治療は「突発性難聴」や「耳鳴り」を得意としています。良い結果や改善されたケースがとても多いのです。
改善するためには条件があり、
・発症からの日数
・症状の重さ
・通院間隔
が主に必要です。
しかし、症状が起こってから大半の方は、病院へ向かいます。そしてほとんどの方が同じ様なお薬を処方されます。お薬を服用して、経過を待っていればいるほど時間は経ち、鍼治療で改善する良い機会を逃してしまうことがあります。
あまり改善の兆しが見られなければ、少しでも早く鍼治療を行なうのも選択肢の一つです。
突発性難聴や耳鳴りの原因って何?
ほとんどの方が、ステロイド剤や血流を促進させる血管拡張剤などが処方されます。服用して数週間経過してもなかなか効果がみられない方が、ネット検索や知人の紹介などで当院に来院されます。
難聴・耳鳴りは、めまいや頭痛を伴うこともありますし、時には「メニエール病」と診断されることもあります。原因が特定され診断されても効果に差が出るケースが後を絶ちません。
中でも「突発性難聴」の原因は不明です。
・ストレス
・血流障害(内耳循環障害)
・ウィルス感染
などの原因が考えられていますが、未だ明確には分かっていません。
なぜ鍼治療が「突発性難聴」や「耳鳴り」が得意なのか
「突発性難聴」や「耳鳴り」で悩んでいる方には、他にも症状のでている場合が多いです。
ただし主症状と関係があるものだと分かっていなかったり、自覚的に感じにくい症状であったりすれば、医師に伝えることはほとんどありません。
肩こり・首こり・頭痛・顎関節症などの症状を病院に行って訴えたところで、「その症状はここでは診れませんので○○科へ行って下さい」となって、主症状とは別であると考えられ一緒に診てはくれません。個々の症状を別々に診ていけば時間はかかるので、治るタイミングを逃してしまうこともあります。
また「突発性難聴」や「耳鳴り」は一時的な血行不良なので、処方された投薬による作用は血流を良くする目的ですが、全身に行き渡ってしまうことで耳に集中させるのが難しいのです。
鍼治療でも全身の血流を改善させる効果を持っていますが、同様に内耳まで必要な血液が及びません。
当院ではピンポイントで内耳の血流を良くするために、耳に関係のあるコリや症状(首こり・肩こり・頭痛・鼻炎・顎関節症)に対してアプローチしていきます。
内耳に直接鍼をするのは危険ですし、耳周辺のコリに対しての刺激も筋肉に防御反応が起こり、より緊張が増してしまうケースが多いのです。耳だけにこだわると限界があります。
コリや症状を緩和させ、内耳まで効果を行き届かせるには体の動きや歪みを調整しなければなりません。手や足、背中(肩甲骨)のツボなどを使って全身から今の状態に合わせた治療をしていきます。
また、内耳に影響を及ぼす顎関節の症状も見逃せない要因の一つです。
顎に関わる筋肉の緊張を、全身の動きを調整して顎の環境を良くしていき耳の奥の血行不良を改善させます。
耳に関わる顎関節の重要性
以前、顎関節症の話をしました。
詳しくはこちら ➔ ここ最近多かった○○○の症状とは?
顎関節の異常は様々な症状を引き起こす原因の一つでもあります。顎の動きと耳の奥が密接に関係しているので、顎関節の調整をしなければなりません。
特に前頚部、側頚部、肩甲骨周辺の筋肉は、顎を動かす時の咬筋などと連動するので、どれか一部の筋肉の緊張が顎関節の緊張につながります。
さらに、「噛みしめ」などで顎自身の緊張も起こります。
「嚙みしめ」は、歯を頑張ってくいしばるイメージがありますが、実は上歯と下歯がわずかに当たるだけでも咬筋を使っているので、歯をくいしばっているのと同じ緊張を起こしているのです。その際、下歯にある下顎骨が奥へいってしまい、さらに顎関節に負担が増し「顎関節症」の症状に至ってしまうことがあります。
顎と舌の関係について
下顎骨は支える筋肉がないと外れてしまう骨です。顎関節周辺の筋肉が主に下顎骨を支えていて、顎の開け閉めをするのに多くの筋肉が関係しています。
この関係性から、前述の「噛みしめ」が起こると首や肩のこりに至っていまいますし、その反対の作用も起こります。
さらに、その動きに連動する重要な筋肉があります。
それは「舌」です。
舌はすべて筋肉でできているので支える骨が必要です。舌骨がそれにあたります。舌骨は、下顎と喉の間に位置するU字形の骨で、他の骨と関節がない筋肉群によって支持されています。舌骨筋群は、首や肩、肩甲骨、鎖骨、下顎骨とつながっています。
したがって、下顎骨が後方へ行ってしまうと舌骨が下がり、舌も縮まり緊張を起こすので奥へいってしまいます。寝ている時のいびきは、舌が落ちてしまうことで起こっているのです。
「無呼吸症候群」の多くの方に、顎関節や舌の動きに異常があります。
舌の動きが悪いかどうかを、自分で簡単に見分けられます。
・下唇の下に梅干し様の模様が常にある
・ポカンと口が常にあいている
・常に口で呼吸をしている
・口を閉じていても上歯と下歯があたっている
上記に当てはまる方は、舌の筋肉が弱いか舌骨にかかわる筋肉の緊張により引っ張られて舌が後方へ行っていることが多いです。
舌と顎のストレッチで症状の緩和
鍼治療は、「突発性難聴」や「耳鳴り」の症状にかかわる顎関節の緊張を緩和させることは得意です。しかし、もともと顎の緊張が強い方は舌の緊張も和らげなくてはなりません。
症状の緩和を補助するストレッチの方法があります。
① 姿勢を正して座るか立ちます。(なるべく後頭部と肩甲骨を壁に付ける。)
仰向けで寝て行なう場合は、枕なしの状態で行ないます。
➁ 下の顎(下顎骨)をゆっくり前に出します。
その時、上下の歯が当たらないように気を付けましょう。
下の顎が前に出たら、舌が奥に行かないように注意します。
その状態をキープしたまま、ゆっくりと鼻呼吸を5回。
一度リセットし、一息つきましょう。
➂ 上下の前歯で舌の先端を軽く挟みます。舌の力は抜いて約1㎝出した状態にします。
※唇や顔面の筋肉の力は入れないようにしましょう。
下の顎をさらに前に出します。(下前歯が上前歯を超えていること)
※舌を咬まないようにしましょう。
その状態をキープしたまま、ゆっくりと鼻呼吸を10回。
いかがでしたか?
ストレッチ中に何か問題がありましたか?
・ 下顎がガクガクした
・ 顎関節が痛くなった
・ 舌が奥にいってしまう
・ 舌の力が抜けない
このような状態は、物を咬むとき以外にも常に過緊張が起こっています。
顎や舌に問題のある方に非常に多くみられます。
顎関節や舌の緊張をやわらげ、少しでも「突発性難聴」「耳鳴り」の症状を緩和させるためには、
寝る前のストレッチを毎日の習慣にしてみてはいかがでしょうか。
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