「動けないから痛い」って何!?
ハリフルの滝沢です。
季節は立冬に入り、ハロウィンなんていつの事か忘れるくらい、すっかりクリスマスモードになっていますね。
ハリフルの院内外もクリスマスバージョンに変更しました。
さて話は変わりますが、先日腰を痛めた患者さんが来院しました。
症状は、立って腰を曲げ、その状態から両手を前に伸ばす動きをすると腰に痛みが発生します。
まさに写真と同じ様な動作ですね。
患者さんのお子さんが生まれたばかりで、ベッドで寝ている赤ちゃんを抱き上げたりあやしたりするので、腰が痛くなってしまったのです。
お子さんのいる方はこんな経験があるのではないでしょうか?
また、似たような姿勢で作業をしている方にも身に覚えがあるかもしれません。
「こんな姿勢になるから腰を痛めるのは当然だ!」と、もっともな意見もあるかと思います。
痛みの有無はなぜ!?
患者さんに辛くなる姿勢をやってもらいました。痛む箇所は、腰の下の方です。
このイラストの赤丸の部分が痛むポイントになります。
場所は、骨盤にある仙骨(せんこつ)と腸骨(ちょうこつ)の間の仙腸関節(せんちょうかんせつ)周辺です。
姿勢に関しては、
先ほどの【中腰+腕を前に出す】と痛くなる。
【中腰のみ】【深くお辞儀をする】のは全く痛くない。
???。
同じ腰を曲げる動作なのに、痛みに有無があるのはなぜでしょうか。。。
姿勢のイラストでご説明すると、
A【中腰+腕を前に出す】姿勢は、腕を前に出すことで胸椎(背中)が丸くなり、腰椎下部の仙腸関節周辺の負荷が強まり痛みが起こったと考えられます。
B【中腰】【深くお辞儀をする】姿勢は、胸椎も丸くなりますが、腰椎自体が最も動くので、今回の痛みのポイントには関連していません。
要するに、腕を出すか出さないかで、負荷のポイントが骨盤なのか腰なのか違ってくるのです。
痛いのに腰自体に治療はしないの?
AとBの姿勢で痛みの有無があるということは、ただ腰が曲がっている見た目の姿勢の中に隠れた動きがあるので、Aの姿勢に痛みが生じたと考えられます。
もし視覚的な観察のみならば、姿勢にかかわらず痛みの部位に鍼や刺激を加えて鎮痛作用をうながす治療になってしまいます。しかしその方法では、症状が元に戻る可能性が高くなります。
隠れた動きを観察すると、Aの姿勢には胸椎が深くかかわって痛みを及ぼしているので、胸椎の動きを回復させない限りは仙腸関節の負担を取り除けないのです。
したがって腰の痛みには、胸椎からの連動回復を目的とした治療になるので、腰周辺の局所の治療には至らないのです。
動きの問題を解決する
「痛いから動けない」⇒ 痛みを取って、動けるようにする。
「動けないから痛い」⇒ 動けるから、痛みが消失している。
局所の痛みが取れたからといって、動作がらくになるとは限りません。
全体の動きを指標としていれば動作が回復しているので、痛みがないという結果になります。
今回の腰痛は、動きの調整が痛みの改善に至る典型的なケースでした。
治療後、試しに痛みのでる姿勢をしてもらいましたが、
「おー、大丈夫です!」との反応をいただき帰宅されました。
他には肩こりの話があるので、またの機会で紹介します。